リシェツキの強みは正に、この謙虚なレパートリーの選択にある。ピアニストの技術レベルが年々上がり続ける昨今ですら、円熟したアーティストは沈黙も含めての静謐な演奏と楽器の音色こそに強みを発揮することを、彼は思い起こさせてくれる。と同時に、高い技術を持った多くのピアニストのなかでも、楽器のコントロール、忍耐、透明感を持つリシェツキは、注目に値する。